2008年の「App Store」開設と、その後のスマートフォン(iPhone/Android)の爆発的普及は、ゲームのプラットフォーム構造を根底から覆した。専用機を買わなくても、誰もが持ち歩くデバイスでゲームができる環境が整った。 初期のヒット作である 『Angry Birds』や 『Fruit Ninja』は、マルチタッチや加速度センサーを最大限に活かした「指一本で遊べる」操作性を提示。これにより、ゲームを遊ぶ場所と時間の制約が完全に消滅した。
この時代のビジネスモデルにおける最大の変化は、ソフトを買い切るのではなく、入場料を無料にしてゲーム内アイテムや機能に課金する 「基本プレイ無料(Free-to-Play)」モデルの定着である。 特に日本では、2012年の 『パズル&ドラゴンズ』が、パズルアクションとモンスターの収集・育成を融合させ、空前のヒットを記録。ランダムにキャラクターを入手する 「ガチャ」システムは、運営型ゲームの主要な収益源となり、ゲームデザインそのものが「いかに長く、毎日遊んでもらうか(継続性)」を重視する方向へと舵を切った。
初期の「GREE」や「Mobage」といったSNSプラットフォーム上でのポチポチゲー(カードバトル等)から始まったソーシャルゲームは、次第にリッチな体験へと進化した。 友だちのキャラクターを「助っ人」として借りる、あるいは期間限定イベントで協力・競い合うといった 「緩いソーシャル性」が、プレイヤー間の帰属意識を高めた。2013年の 『モンスターストライク』は、スマホを持ち寄って対面で遊ぶ「マルチプレイ」の価値を再発見し、携帯ゲーム機が担っていたコミュニケーション機能をスマホへと移行させた。
2016年、任天堂とNianticが展開した 『Pokémon GO』は、AR(拡張現実)とGPS(位置情報)を組み合わせ、世界中をパニックに近い熱狂に陥れた。 「ゲームは家の中で遊ぶもの」という常識を完全に破壊し、実際に街を歩いてポケモンを捕まえるという体験は、健康増進や地域活性化といった社会的価値をもたらした。これはゲームがバーチャル空間を飛び出し、現実の風景を塗り替えた歴史的な瞬間であった。
2010年代後半に入ると、スマホゲームのグラフィックは据置機に迫るほど高精細化した。『Fate/Grand Order』や『グランブルーファンタジー』のように、膨大なテキスト量と重厚なストーリーを備えた作品が登場。「ゲーム機(ハード)」ではなく「特定の作品(アプリ)」に数年単位で定着するユーザーが増え、既存の有名アニメやゲームのIP(知的財産)を活用した展開が市場の主流となった。
『クラッシュ・ロワイヤル』や、後の『荒野行動』『PUBG MOBILE』といった作品の登場により、スマホは「暇つぶし」の道具から「本格的な競技デバイス」へと進化した。PCが主流だった対戦競技シーンにおいて、スマホ一台で参加できる手軽さは、特にアジア圏や若年層におけるeスポーツの底辺を劇的に広げる要因となった。